私は兄弟・夫が発達障害です。自立支援や発達障害の家庭教師など、とにかく発達障害に縁がある環境でした。
18歳までの障害者施設での勤務経験もあります。そんな私が思う、愛される発達障害について書いていきます。
施設勤務で思い知ったこと
夏休みは子どもが朝からきて人員が足りないとのことで働かせていただきました。安全が保障できないからと他の施設では受け入れてもらえないような、重度な子まで預かっている施設です。様々な障害を持った子どもたちがいました。
同じ障害でもまったく一括りにできないことを感じました。育つ環境によっても本当に異なります。
ついつい感情的になってしまう身内ではないから、「可愛い」と思えるというところも多少なりあると思います。ですが、当たり前なんてない子たちの中で毎日本当に楽しく働かせて頂きました。
愛される子のお話〜男の子〜
とても品のあるご家庭で愛されて育てられている男の子がいました。
耳からの情報を瞬時に記憶し、ドバーっと流れるようにお話します。そういった能力を持った子です。
この子の魅力は、常にすべて敬語で話すことです。
僕はあなたのことが嫌いです!
面と向かって「嫌い」と伝えられた側はショックですが、これが敬語じゃなかったらどうでしょうか?
俺、お前のこと嫌い
同じ意味だけど、後者の方が心にグサッときますよね。なかなかキツい…。
発達に遅れがある子は目に見えないものが苦手です。読み取るとか察するとかも苦手です。言わなくてもいいことをハッキリ言ってしまうこともしばしば。だけど、敬語だとキツさも多少和らぎますね。
昼食買いにファストフード店に行ったときも面白いことがありました。注文を取りにきた店員さんにキョトンとした顔でひと言。
何か御用ですか?
店員さんも思わず笑う。「いやいやこっちのセリフだよ!!」って感じですよね。笑
この男の子はただ純粋に疑問に思ったのでしょう。だけど敬語だから面白くて可愛い。
なんか用?なに?
だったら店員さんも笑わないし、少し嫌な気持ちになりますよね。
- 感じたことをそのまま口にしてしまう
- 目に見えないもの(空気や気持ち)がわからない
特性をカバーしたり、なおしたりすることも大切です。
だけど言葉が話せるって素晴らしいことですよね。発語がない子は本当にたくさんいます。せっかく話せるんだから、そんな特性も愛されるようにしてしまうのもひとつなのではないでしょうか。
この男の子はご家庭で、敬語で話すよう教えられているみたいでした。特性はそのまま、クスッと笑ってもらえたり愛されるようにしてあげる。これも自立支援なのです。
愛される子のお話〜女の子〜
私が2年ほど家庭教師をした、(当時)中学生の女の子がいます。
ひとりっこというのもありますが、家庭環境からくる寂しさなどでかなりのわがままっぷり。授業も集中できないのに1回4時間頼んできたり(見通しが持てない)、テスト前で焦っているのに思うように勉強できなかったり(計画性がない)、なかなか失礼なことを悪気なく言ってきたり、情緒も激しくかなり手がかかりました。
けれど彼女は、どんなときも礼儀がある子でした。
いつも独りでご飯を食べているのに、きちんと手を合わせて「いただきます!」「ごちそうさまでした!」と必ずするんです。誰も聞いていないし見ていないのに。
私が帰るときには「ありがとうございました!」と必ず笑顔で言ってくれます。いくら手がかかっていても、そのひと言で許してしまいますよね。変に媚びを売るよりも、礼儀をちゃんとしていた方が可愛いです。
意外と「ありがとう」が言えない人って多いですよね。
- 「根は悪い子じゃないのに…勿体ないなあ」という減点方式
- 「○○なところもあるけど、いい子よね」という加点方式
誰にでも、良いところ・悪いところがあります。完璧な人なんていないのです。でも圧倒的、加点方式の方が得だと思います。
愛され方は人それぞれ
敬語で話す男の子は、特性もひっくるめて愛される子。
礼儀正しい女の子は、特性も忘れてしまうような愛され上手。
私のパートナーはコミュニケーション能力がありません。言葉の背景がわからないし、口頭だと理解するのに時間がかかるし、いまいち共感ができないし、主語がないから相手にうまく伝わりません。
しかし彼は話を聴くことは上手です。相手の目を見て、決してさえぎらず、しっかりと聴くんですね。(8割方理解はしていないらしいですが😂)人間は大多数が話を聴いてもらいたいもの。男性はプライドが高く、自慢話が多い方もみえますよね。彼は自慢話だということにも気がつかないうえに、純粋に感心しますから、話している側は気分もいいことでしょう。😂
コミュニケーション能力は低いけれど、聴き上手。ほぼ理解していないからこそ聴き続けられる。特性は悪い面にばかり出るわけではありません。
物事は背中合わせということを学ばせていただきました。感謝です。
最強ワード「ありがとう」「ごめんね」「だいすき」
伝えるって大切。今ここに、私も相手も存在しているから伝えられる。これがいかに尊いことなのか気づかないといけない。
「ありがとう」と言われて気分を悪くする人はいませんよね。
「ありがとうって言いなさい」なんて子どもに教えても、促されなきゃお礼が言えない大人になるだけです。特に短期記憶の発達障害だと、興味がないから忘れちゃうかも。
だけど、「ありがとう」を言えなくて損するのはもったいない!
「ありがとう」と言えるようにするには、「ありがとう」と言う姿を普段からみせること。
私の夫も「ありがとう」が言えない人でした。上手く人と関われず、大して感謝されることがなかったからです。感謝されるとか感謝するとか、よくわからなかったんです。
だから私は「ありがとう」をたくさん言いました。感情もプラスして伝えていました。見えない感情を言葉にしてあげることは、発達障害の子に効果的です。
「最近ありがとうって言ってくれるから、私はうれしい!ありがとう」
「〜はダメ」「〜しなさい」と教えるよりも気持ちを伝えるほうが通じます。
「〜されると悲しい」「その言葉はショック」
なぜ悲しいかを理解することは、発達障害の子には難しいです。しかし、「悲しいならやめよう」とは思えるそうです。一筋縄ではいかない発達障害には、この伝え方が使えます♩
「お礼を言われると相手は嬉しい」とわかれば、自然と言えるようになります。
言って損なしの言葉は、伝えていきましょう。
生きているなら、目の前にいるなら、どうせなら良い言葉を交わしましょう♡人の命はいつしか終わります。今ここを意識して、「ありがとう」「ごめんね」「だいすき」と愛を伝えていきましょう。
愛される人になろう
特性や欠点そのものをカバーしたり改善したりすることも大切ですが、すべてをそうする必要はありません。愛されるアイテムにしてしまうのもひとつです♡
発達障害で言えば、一般の人より劣る部分もありますが、ずば抜けて素晴らしいところもあります。その能力を素直にすごいと認めてもらえるかどうかは、愛される力があるかによって変わります。
また、助けが必要です。誰かに頼りながら生きていけるようになることが、自立です。
発達障害に限らず、私たち人間はひとりで生きてはいけません。誰だって助けが必要なのです。
様々な支援がありますが、“愛される”ようにしてあげれば、生きやすさにも繋がると思います♡
顔やスタイルが良い。コミュ力が高い。 持って生まれたものは使うべきだと思います! ラッキー!
学歴が素晴らしい。 努力して得たものは誇りです!
当たり前なことができない。自分は他人と違う。卑屈になったり落ち込むこと、ありますよね。だけど、小さな小さなアイテムにとらわれないでほしいです!
物事は背中合わせだから。
マイナスだと思っていたことも、プラスに変えられることだってあるんです。
発語が一切なくてもどうしてこんなに可愛いか。私たちにとって当たり前である言葉なんて、小さな小さなアイテムでしかない。
話せなくても魅了できる。愛される。